後頭神経痛(こうとうしんけいつう)

headache

後頭神経痛の症状は?

後頭神経痛は、後頚部~後頭部の頭皮に、短時間の痛みを繰り返す頭痛です。

後頚部~後頭部に痛みが出現します。痛みの種類は、電気が走るような、焼けるような、キリキリ刺されるような、チクチク、ズキズキ、ツキン、ビーンなど、患者さんによって様々です。神経が刺激されることで痛みが起きるので、短時間(数秒~数分間)の痛みが特徴です。この短時間の痛みが、間隔をあけて繰り返します。痛みと痛みとの間隔は、数秒間隔のこともあれば、数時間間隔のこともあります。かなり強い痛みが出る方もいらっしゃいます。一度痛みが出ると、痛みは数日から、長い場合は数週間続きます。

後頭神経は首の付け根から出て、頭のてっぺんや、耳の上や後ろに走っているため、痛みは神経の通り道に沿ってひろがります。左右のどちらかが痛むことが多いのですが、左右両側が痛むこともあります。また、首を動かす、くしゃみをするなどの動作で、痛みが誘発されます。髪の毛をブラシでとかすときや、シャンプーをするときに、頭皮に軽く触れただけでもピリピリと感じます。痛みと痛みの合間にも、後頭部がなんとなくしびれた感じが続くこともあります。

後頭神経痛の原因は?

後頭部の頭皮の感覚に関係する神経は、頸部にある脊髄から枝分かれし、首の筋肉の中を通り、首の付け根から出て、後頭部に分布しています。後頭神経には、大後頭神経、小後頭神経、第三後頭神経などの種類があり、神経が刺激されると、刺激される神経によって、頭皮の異なる部分に痛みを感じます。

大後頭神経(Greater occipital nerve)が頸部の筋肉の中を通り、後頭部に分布する様子
Surg Neurol Int. 2014; 5: 155.より引用

頭部の重さは、だいたい体重の10%くらいです。この重い頭部を、横になっているとき以外は、首の筋肉が常に支えています。運動不足、前かがみの悪い姿勢(パソコンやスマホの使用、草取りなど)、枕の変更などによって首の筋肉がこり、筋肉の中を走る後頭神経が刺激されることで、後頭神経痛が出現すると考えられています。年齢を重ねると、首の筋肉や骨が老化してくるので、後頭神経痛は年配の方に起こりやすい病気です。後頭神経痛とは別の頭痛である緊張型頭痛にも、首~肩の筋肉のこりが関係しています。そのため、緊張型頭痛といっしょに後頭神経痛が起きることがあります。また、後頭神経と接している血管の動脈硬化や、頸部の腫瘍などでも、後頭神経が刺激されると痛みが起きることがあります。

後頭神経痛の診断方法は?

後頭神経痛の診断は、医師が症状を問診し、お体を診察することで行います。後頭神経が筋肉から出てくる部分を押さえたり軽く叩いたりしたときの痛みが、診断の参考になります。後頭部の痛みの原因が、首の筋肉の緊張以外にあるかどうかを調べるため、必要に応じて、画像検査(脳MRI、頚椎単純X線写真、頚椎MRI)を行うこともあります。

後頭神経痛の治療は?

肩こり、首こりが改善するように、定期的な運動や体操を行い、仕事の合間には休憩をはさみましょう。痛みは自然に治ることも多いですが、首の筋肉のこりを緩和するために、温湿布や漢方薬、飲み薬の筋弛緩薬を処方します。神経痛に対して、鎮痛薬や抗てんかん薬などを処方することもあります。また、痛みがとても強い場合には、注射による神経ブロックを行います。

全てのお薬には副作用の可能性がありますが、医師はお薬を飲んでいただくことのメリットとデメリットを考えて、それぞれの患者さんに最適な薬を処方しています。心配なことがあれば担当医や薬剤師まで、遠慮なくご相談ください。

このようなときには、もう一度来院して下さい

最初は後頭神経痛と診断されていても、痛みがヒリヒリとする持続時間の長い痛みに変化して、後頭部の頭皮に赤い発疹や水ぶくれが出てくることがあります。これは、後頭部の帯状疱疹です。発疹が出てくる前は、慎重に診察しても後頭神経痛と区別がつきにくいことがありますが、後頭神経痛と帯状疱疹とは別の病気です。もし痛みに続いて、発疹が出現した場合には、皮膚科などを受診してください。

また、飲み薬の筋弛緩薬や、神経痛に対する鎮痛薬の副作用で、ふらつきや眠気が出たり、薬に対するアレルギー反応で皮疹(薬疹)が出たりすることがあります。心配な症状がある場合は、後頭神経痛に対して処方された飲み薬はいったん中止して、もう一度来院して下さい。ただし、以前から飲んでいるそのほかのご持病の飲み薬(高血圧の薬、糖尿病の薬など)は中止せず、続けて飲んでいただくようお願いします。

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